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犬の口腔内腫瘍(口腔内メラノーマ)|犬の口が臭くなる?口の中にできる腫瘍の再発や転移を防ぐ新たな治療

犬の口の中にできる腫瘍は、その多くが悪性で進行も早いと言われています。なかでも「口腔内メラノーマ」は特に注意が必要ながんのひとつです。通常は手術による切除が行われますが、それだけでは再発のリスクが高く、愛犬への負担も大きくなる可能性があります。

そんな中、当院では「免疫細胞療法」(再生医療の1つ)という新しい治療法に取り組んでいます。愛犬自身の免疫力を活かしてがんと向き合うこの方法は、体への負担を抑えながら再発・転移への効果も期待されています。

「これ以上つらい治療は避けたい」「でも、まだ希望を持ちたい」そんな飼い主様の思いに寄り添いながら、愛犬とのかけがえのない時間を少しでも長く、穏やかに過ごしていただけるよう、最新の治療法についてわかりやすくご紹介していきます。

口腔内メラノーマとは?

口腔内メラノーマは、メラニン色素をつくる細胞が腫瘍化したもので、犬の口腔内にできる悪性腫瘍の中で最も多く見られるタイプです。

この腫瘍には、次のような特徴があります。

高齢の小型犬に多い
歯肉や舌、硬口蓋(口の上部の硬い部分)などに発生する
進行が速く、悪性度が高い
他の臓器やリンパ節に転移しやすい

また、口の中は日常的に見えづらいため、発見が遅れるケースが少なくありません。そのため、以下のような変化に気づいたら、すぐに動物病院での検査をおすすめします。

口臭が強くなった
食べづらそうにしている、水を飲みにくそうにしている
食欲が落ちた
よだれが増える
歯肉や舌から出血がある

従来の治療法とその課題

口腔内メラノーマに対する従来の治療には、以下の3つがあります。

〈手術〉
最も一般的で優先される治療法ですが、完全に切除することが難しく、再発や転移のリスクが高いといわれています。さらに進行している場合は、下顎を大きく切除する必要があるなど、術後のQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

〈化学療法(抗がん剤治療)〉
手術との併用が基本ですが、単独では効果が限定的なことが多く、副作用のリスクも伴います。

〈放射線療法〉
局所的な治療として検討されることもありますが、対応可能な施設が限られ、治療効果にも限界があります

免疫細胞療法という新たな選択肢

こうした従来の治療だけでは限界がある中で、近年注目されているのが免疫細胞療法(再生医療の1つ)です。これは、動物自身の免疫力を活性化させてがんに立ち向かう治療法であり、特に口腔内メラノーマに対しては以下の2つを組み合わせることで相乗効果が期待できます。

〈樹状細胞(DC)療法〉
・樹状細胞は、がん細胞を見つけて、攻撃するリンパ球に情報を伝える「司令塔」の役割を担います。
・犬の血液から採取・培養した樹状細胞をがんの中やがんの周囲に注射して、がんを攻撃する免疫を活性化します。
「樹状細胞(DC)療法」についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください

〈活性化リンパ球(CAT)療法〉
・活性化リンパ球は、がん細胞を攻撃する「兵隊」のような免疫細胞で、痛みを和らげる物質も分泌します。
・犬のリンパ球を採取・培養・活性化して、再び体内に戻すことで、がんに対する直接的な攻撃力を高めます。また、患者の生活の質(QOL)を高めます
「活性化リンパ球(CAT)療法」についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください

治療効果と症例紹介

当院では、少しでも多くの犬を救いたいという思いから、免疫細胞療法を積極的に導入しています。

実際に、口腔内メラノーマを部分切除した症例に対して樹状細胞療法+活性化リンパ球療法を併用したところ、転移することなく1年以上元気に過ごせた例もあります。

また、重要なのは“延命”ではなく、“家族と過ごせる時間を延ばす”という点です。免疫細胞療法は、愛犬のQOLをできるだけ維持しながら、がんに対抗することを目指しています

このように、従来の治療法では限界がある口腔内メラノーマに対して、免疫細胞療法であれば高い効果が期待できます。

飼い主様へのメッセージ

口腔内メラノーマは、たしかに治療が難しい病気ですが、「もう治らない」と諦める前に、免疫細胞療法という新たな選択肢があることを、ぜひ知っていただきたいと思います。

もちろん、免疫細胞療法はすべてのケースで万能な治療というわけではありません。効果を最大限に発揮するには、早期の段階で治療を開始することが重要です。

少しでも愛犬の様子に違和感を覚えたら、まずはかかりつけの動物病院で相談し、必要であれば当院のような再生医療専門施設でセカンドオピニオンを受けることもご検討ください。

愛犬とご家族が、これからも穏やかな時間を一緒に過ごせるよう、私たちも一緒に考え、寄り添ってまいります。

まとめ

犬の口腔内メラノーマは進行が早く、再発や転移のリスクが高い難治性のがんです。

しかし、免疫細胞療法(樹状細胞療法+活性化リンパ球療法)という新しい治療アプローチを組み合わせることで、QOLを維持しながら長く過ごせる可能性が広がってきています。

「もう治らないのでは…」「どうしたらいいのかわからない…」とお悩みの方は、ぜひ一度、当院へご相談ください。

私たちは、愛犬とご家族ができるだけ長く、豊かに一緒に過ごせる未来を全力でサポートさせていただきます。

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