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しこりができる犬の乳腺腫瘍|再生医療による新しい治療アプローチと予後改善

乳腺腫瘍は、中高齢で避妊していないメス犬に多くみられる病気のひとつです。腫瘍と聞くと、「これからどうやって暮らしていけばいいんだろう…」「もう長くは生きられないのでは…」と不安になる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。

しかし、乳腺腫瘍は早期に発見して適切な治療を行えば、愛犬のQOL(生活の質)を保ちながら過ごせることも少なくありません。さらに最近では、外科手術を中心とした従来の治療に加えて、再発や転移の予防を目的とした「再生医療」という新たな選択肢も登場しています。

今回は犬の乳腺腫瘍について、基本的な情報をまとめたうえで、再生医療による新しい治療アプローチをご紹介します。

乳腺腫瘍とは? 症状と早期発見のポイント

乳腺腫瘍とは、胸からお腹にかけて広がる乳腺組織に発生する腫瘍です。良性と悪性があり、犬ではおおよそ半々の割合で発生するといわれています。

犬の乳腺は左右に5対(合計10個)あり、初期には乳腺に小さくて硬い“しこり”ができるのが特徴です。ご自宅でも、愛犬のお腹を優しくなでながら、しこりや腫れがないかを日常的にチェックしてあげましょう。とくに注意したいのは以下の点です。

・しこりの大きさや硬さ
・周囲との癒着(指でつまめるかどうか)
・しこりの成長スピード

悪性腫瘍の場合、進行が早く他の臓器に転移することもあるため、早期発見が非常に重要です。定期的な健康診断と、日々のスキンシップが発見のカギとなります。

乳腺腫瘍の診断と基本的な治療法

動物病院では以下のような流れで診断していきます。

①視診・触診
しこりの見た目や大きさ、触ったときの感触を確かめます。

②細胞診
細い針でしこりの一部を採取し、顕微鏡で細胞の性質を確認します。

③画像検査
超音波検査やレントゲン検査で、リンパ節やその他の臓器への転移がないかを調べます。予後に大きく影響するので、細心の注意を払って確認します。

これらの結果をもとに、基本的には外科手術(腫瘍切除)による治療を検討します。その際、腫瘍のステージによって切除範囲が変わるため、術前の検査結果がとても重要になります。

また、術後は再発のリスクを抑えるため、化学療法(抗がん剤治療)などの補助療法を併用することもあります。

再生医療による新しい治療アプローチ:CAT療法

近年、犬や猫の医療で注目されているのが「再生医療」です。これまで何度かご紹介してきましたが、犬の乳腺腫瘍に対しては、「CAT(活性化リンパ球)療法」が補助的な治療として期待されています。
この治療法は、愛犬自身の免疫細胞(リンパ球)を体外で活性化し、再び体に戻すことで腫瘍に対する免疫力を高めるというアプローチです。

ここで重要なのは、CAT療法は外科手術に代わるものではなく、手術後の再発・転移の予防を目的とした補助的な治療であるということです。さらに、化学療法と併用することで相乗的な効果が期待できるという報告もあります。

CAT療法の大きなメリットは、愛犬のQOLを維持しながら治療を進められることです。実際にたくさんの犬で再発・転移予防効果が確認されていて、治療前と変わらないQOLが維持できているケースも報告されています。
「CAT療法」についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください

乳腺腫瘍を予防するためにできること

犬の乳腺腫瘍を予防するためには、以下のような対策が有効です。

若いときの避妊手術
犬では1回目の発情前に行うと0.5%、2回目の発情前では8%、3~4回目では26%にまで発生リスクを抑えられるといわれています。

ホルモン剤の長期使用を避ける
乳腺は性ホルモンの影響を受けるため、ホルモン剤の長期使用は慎重に検討しましょう。

健康的な生活習慣の維持
適正体重の維持、バランスのよい食事、適度な運動が、体の免疫力を支える基盤となります。

定期的な健康診断と自宅での触診
繰り返しにはなりますが、定期的に健康診断を受けることと、日頃から自宅でスキンシップをとることが、早期発見につながります。

まとめ

犬の乳腺腫瘍は、早期発見・早期治療ができれば、愛犬らしい生活を維持できる可能性がある病気です。そのためには、定期的な健康診断とご自宅でのセルフチェックが不可欠です。また、治療においては、手術と再生医療(CAT療法)を組み合わせることで、再発・転移の予防やQOLの維持にも期待ができます。不安なことや心配なことがあれば、どんな些細なことでも構いません。どうぞお気軽に、私たち獣医師へご相談ください。

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