突然ですが、「再生医療」という治療法を知っていますか？
まず「再生」という言葉について調べてみましょう。辞書によってさまざまな意味が書かれていますが、ここでは「傷ついたり、元気がなくなったりした体の一部を元の健康な状態に戻すこと」とします。
そして「医療」とは「医学の力で病気を治すこと」です。
つまり、「再生医療」とは、「傷ついたり、元気がなくなったりした体の一部を元の健康な状態に戻して、病気を治す方法」ということになります。
◼️目次
1.再生医療のここがすごい！
2.再生医療でできること！
3.まとめ
病気の中には治すことが非常に難しいものがあります。「がん」はその代表的な病気です。
手術で大きながんの塊を取り除くことはできますが、目に見えないほどの小さながんが体内に残ってしまうと、がんが成長して再び大きくなります（これを再発と言います）。
また、この小さながんは血の流れに乗って体の他の部分に移動して、そこで成長することもあります（これを転移と言います）。
この再発と転移を抑えるために、通常は抗がん剤が使われていますが、多くの患者さんが副作用に苦しんでいます。しかし、再生医療による治療では、副作用がほとんどなく、がんの再発や転移を抑えることができます。
また、薬が効かない病気や、手術ができない病気も再生医療によって治療することができます。その結果、さまざまな症状が軽くなり、より健康的に過ごせるようになります。
このように、再生医療は、これまでの治療法とはまったく違った治療法なのです。
この再生医療は私たち人間だけでなく、家族の一員であるペットにも使われています。
次に、再生医療ができる3つのことをご紹介します。
例えば、やけどで広範囲の皮膚を失ったときに自分の体の他の部位や、他の人から健康な皮膚を持ってきて失った部位を補うこと、または、心臓の血管が潰れてしまったときに足の血管を持ってきて、損傷がある血管部分を補うことがあります。これを「移植」と呼びます。
移植は、単に損傷した部分を置き換えるだけでなく、体自身が持つ再生能力と適応力を活かしています。
体の中には、免疫細胞という細菌やウイルスなどの「異物」を体から排除する細胞があります。この免疫細胞は「がん細胞」も異物とみなして排除しようとします。
しかし、がん細胞は免疫細胞の排除能力以上にどんどん増え、免疫細胞の力を弱めてしまいます。その結果、がんが成長し続けることになります。
再生医療では、この弱っている免疫細胞を体外に取り出し、体の外で活性化させて元気な状態にしてから再び体内に戻します。
これにより、免疫細胞のがんを排除する能力を高めることができます。免疫細胞が元気でないと、体内の「がん」と戦うことができませんが、元気になれば「がん細胞」に負けずに戦うことができます。
この治療法を「免疫細胞療法（めんえきさいぼうりょうほう）」と言います。
この免疫細胞は本人の血液から取り出され、本人の血液に戻されるため、体に大きな負担をかけることはありません。さらに、全身に行き渡るので、治療効果が1つの場所だけでなく全身に現れます。そのため、がんの転移にも対応できます。
体の中の細胞は、最初は未熟で赤ちゃんのような状態です。このような未熟な細胞を「幹細胞」と呼びます。細胞がきちんと働くためには、「分化」という過程を経て「成熟細胞」、つまり大人の細胞になる必要があります。
しかし病気になると、この「分化」の過程が邪魔されてしまいます。その結果、子どもの細胞が大人の細胞になれず、働く大人の細胞が少なくなり、腎臓や腸などの臓器が正常に機能しなくなります。
ですが、体内には病気が「分化」を邪魔するのを抑える幹細胞が存在します。これを「間葉系幹細胞」と呼びます。
再生医療では、この間葉系幹細胞を体外で増やし、再び患者の体内に戻します。これにより、病気が「分化」を邪魔するのを抑え、細胞が成熟した大人の細胞になるのを助けることができます。
この治療法を「間葉系幹細胞療法（かんようけいかんさいぼうりょうほう）」と言います。
再生医療は、これまでの治療法とはまったく違った治療法です。新しい考え方であり、情報がまだ少ないですが、研究が進むにつれて将来はこうした治療が当たり前になるかもしれません。
当院では再生医療を治療に取り入れていますので、ご不明な点があればお気軽にご相談ください。
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再生療法（免疫療法）
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