「昨日まで食べていたのに、急にご飯を食べない」
「少しは食べるけれど、いつもの半分以下になった」
「元気もない気がして、病院に行くべきか迷う」
犬や猫がご飯を食べないと、飼い主様はとても心配になると思います。
食欲は、体調の変化が出やすいサインのひとつです。ただし、食べない理由はさまざまで、環境の変化や一時的な胃腸の不調で起こることもあれば、体の中の病気や口の痛みなどが隠れていることもあります。
今回は、犬・猫がご飯を食べないときの原因、家で確認したいポイント、受診の目安、動物病院での検査や治療、慢性疾患で検討される再生医療についてわかりやすく解説します。

■目次
1.まず確認|様子を見られる場合と受診したい場合
2.食欲不振の原因は?犬・猫に多い理由
3.家で見てほしいチェックポイント
4.動物病院では何をする?
5.一般的な治療|まずは食べられる状態に戻す
6.慢性疾患で検討される再生医療という選択肢
7.まとめ
犬や猫が1回ご飯を残したからといって、すぐに重い病気とは限りません。
元気があり、水が飲めていて、嘔吐や下痢などの症状もなく、次の食事や翌日には食欲が戻るようであれば、少し様子を見てもよい場合があります。
一方で、次のような様子が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
・2日以上ほとんど食べない
・元気がなく、ぐったりしている
・嘔吐や下痢が続いている
・水も飲まない
・よだれが多い
・呼吸が荒い
・触ると痛がる、嫌がる
・急に体重が減ってきた
特に猫は、数日食べないだけでも脂肪肝などの病気を引き起こすことがあり、犬よりも「食べないこと」の影響を受けやすい動物です。
食欲不振の原因は見た目だけでは判断できないことも少なくありません。判断に迷う場合は、無理に様子を見続けず、早めに動物病院へご相談ください。
食欲不振の原因は、胃腸の不調だけとは限りません。
ここでは、犬や猫でよく見られる主な原因をご紹介します。
・胃腸の不調
胃腸炎や膵炎、誤飲、毛玉などが原因で胃腸に不調が起こると、食欲が落ちることがあります。
嘔吐や下痢、お腹を丸める、草を食べたがるといった様子が見られる場合は、胃腸のトラブルが疑われます。
・口の痛み
歯周病や口内炎、歯のぐらつき、口の中のできものなどがあると、食べたい気持ちはあっても痛みのために食べられないことがあります。
フードを口に入れても落としてしまう、片側だけで噛む、よだれが多い、口臭が強いといった様子が見られる場合は、口の中に原因が隠れている可能性があります。
口内炎についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください
口腔内腫瘍についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください
・感染症や発熱
細菌やウイルスなどの感染によって発熱すると、元気とともに食欲も低下します。
ぐったりしている、震える、いつもより寝ている時間が長いといった変化が見られることもあります。
・体の痛み
関節や腰、背中の痛み、ケガなどによって体を動かすことがつらくなると、食欲が落ちることがあります。
動きたがらない、触ると嫌がる、寝返りが少ないなどの様子が見られる場合は、痛みが原因かもしれません。
・ストレスや環境の変化
犬や猫は環境の変化に敏感な動物です。
来客や引っ越し、ペットホテルの利用、工事の音、においの変化、トイレ環境の変化などがストレスとなり、一時的に食欲が落ちることがあります。
・腎臓・肝臓・内分泌・腫瘍などの病気
慢性腎臓病や肝疾患、糖尿病などの内分泌疾患、腫瘍などでも食欲不振が見られます。
特にシニア期では「食べない」という症状が、このような病気の最初のサインとして現れることも少なくありません。
慢性腎臓病についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください
このように、食欲不振の原因はさまざまで「食べない」という症状だけでは原因を特定することはできません。食欲が落ちた期間や、嘔吐・下痢、元気の有無など、ほかの症状もあわせて確認することが、原因を見極めるための大切な手がかりになります。
受診前に、次のような内容を確認しておくと診察に役立ちます。
・いつ頃から食べなくなったか
・食欲が落ちる前に、フードの変更や環境の変化があったか
・普段の何割くらい食べているか
・好きなおやつやウェットフードには反応するか
・水を飲む量に変化があるか
・嘔吐や下痢がある場合は、その回数や内容
・尿や便の回数、量、色に変化があるか
・体重が減っていないか
・口臭やよだれが増えていないか、噛み方や食べこぼしに変化がないか
・歩き方や寝方、触られたときの反応に変化がないか
特に猫では、トイレの回数や尿量の変化も大切な情報です。
水をたくさん飲む、おしっこの量が増える、何度もトイレへ行くといった様子は、腎臓や泌尿器の病気が隠れているサインであることがあります。
また、食べた量や食べなかったフード、嘔吐物や便の状態を写真に残しておくと、診察時に役立ちます。歩き方や元気のなさが気になる場合は、動画を撮影しておくのもおすすめです。
動物病院では、まず問診と身体検査を行い、食欲不振の原因を探っていきます。
問診では、いつから食べないのか、急に食べなくなったのか、それとも少しずつ食べる量が減ったのか、嘔吐や下痢はあるのか、水は飲めているのかなどを詳しくお聞きします。
身体検査では、脱水の有無や体温、口の中の状態、体重、心音や呼吸、腹部の張りなどを見ていきます。
そのうえで必要に応じて、次のような検査を行います。
・血液検査
・尿検査
・便検査
・レントゲン検査
・超音波(エコー)検査
食欲不振の治療では、まず「食べられる状態に戻すこと」と「原因を治療すること」を並行して考えます。
たとえば、吐き気がある場合は吐き気止め、胃腸の不調がある場合は胃腸薬、脱水がある場合は点滴を行います。また、痛みが原因で食べられない場合は、痛みを和らげる治療も大切です。
食事についても、その子の状態に合わせて工夫します。消化しやすい食事に変更したり、少し温めて香りを立たせたり、少量ずつ与えたりすることで、食欲が戻ることもあります。
ただし、病気によって適した食事は異なるため、自己判断で食事内容を大きく変更する前に、一度ご相談ください。
また、誤飲や膵炎、口腔疾患、感染症、腎臓病、肝臓病などが原因の場合は、それぞれの病気に対する治療を並行して行います。
食べない期間が長くなるほど体力は低下し、回復にも時間がかかることがあります。
当院では、病気の種類や進行度によって、再生医療を治療の選択肢の一つとしてご提案することがあります。
再生医療は、体が本来持っている回復力や細胞の働きを活かし、炎症の調整や組織の修復をサポートすることを目指す治療です。
たとえば、慢性腎臓病や慢性肝炎などでは、食事療法や内服薬、点滴などの基本的な治療を続けながら、症状の緩和やQOL(生活の質)の維持・向上を目的として、再生医療を検討する場合があります。
ただし、再生医療はすべての病気や症例に適応できる治療ではありません。また、一般的な治療に代わるものではなく、病状や検査結果を踏まえたうえで、必要に応じて組み合わせる治療です。
「薬や点滴を続けているものの、なかなか食欲が安定しない」
「慢性腎臓病や肝臓病と診断され、今の治療以外にもできることがあるのか知りたい」
そのような場合には、再生医療も選択肢の一つとなる可能性があります。
愛犬・愛猫の状態を詳しく診察したうえで、その子にとって最適な治療方法を一緒に考えていきますので、お気軽にご相談ください。
セカンドオピニオンについてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください
犬や猫がご飯を食べない理由は、環境の変化や一時的な胃腸の不調だけでなく、口の痛みや感染症、誤飲、腎臓病、肝臓病、腫瘍など、さまざまな病気が関係していることがあります。
一時的な食欲低下で自然に回復することもありますが、食べない状態が続く場合や、元気がない、嘔吐や下痢を伴う場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
へきなん動物病院では、食欲不振の原因を丁寧に見極め、その子の状態に合わせた治療をご提案しています。また、慢性腎臓病や慢性肝炎などでは、一般的な治療に加えて再生医療を検討できる場合もあります。
「食べないだけ」と様子を見続けず、いつもと違う様子が続くときは、お気軽に当院までご相談ください。
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