「毎日お薬を飲ませているのに、ちっともかゆみが引かない」「ステロイドを減らすと、すぐ皮膚が真っ赤になってしまう…」そんな出口の見えない不安を抱えていませんか?
愛犬・愛猫が体をかき続ける姿を見るのは、飼い主様にとって本当に辛いことです。夜中も眠れないほどかいていたり、血が出るほどかき壊していたりすると、見ている側も胸が苦しくなりますよね。
ただ、ここで大切なのは、今までの治療で効果が出なかったことには、必ず理由があるということです。
「治らない=治療が間違っていた」という意味ではなく、原因や悪循環が複数重なり、薬だけでは追いつかない状態になっているケースが少なくありません。
今回は犬・猫の皮膚炎(かゆみ)が長引く理由を整理したうえで、薬だけに頼りすぎない「次の一手」として、体の回復力を支える再生医療の考え方も紹介します。

一口に「皮膚炎」「かゆみ」といっても、その原因はさまざまです。代表的な原因としては、以下のようなものがあります。
・アトピー(体質的にアレルギーが出やすい)
・食物アレルギー
・ノミ・ニキビダニ(毛包虫)などの寄生虫
・細菌感染
・カビ(真菌)感染
・ホルモンの病気
・ストレス(舐め続けるなど)
このため、動物病院ではまず「原因をしぼる検査(鑑別)」を行います。
たとえば皮膚を顕微鏡で見て菌やダニを確認したり、耳の状態をチェックしたり、食事内容や生活環境のお話を伺ったりします。
ここでポイントになるのは、かゆみ止めだけでは根本改善にならないケースがあるということです。
原因に合わせた対策と、炎症を抑える治療を組み合わせることが、改善への近道になります。
皮膚炎の治療というとステロイドを思い浮かべる飼い主様も多いと思います。
もちろんステロイドはアトピーなどには非常に有効なお薬ですが、実際の治療ではそれ以外の選択肢も多くあります。また、ステロイドは免疫抑制作用を持つため原因によっては症状が悪化することがあります。
ステロイド以外にも、原因や重症度に合わせて以下のようなお薬が使われます。
・免疫の反応を調整するお薬(炎症を起こしにくくする)
・抗体製剤(かゆみの“合図”をブロックするお薬)
・抗菌薬(細菌が関係する場合)
・抗真菌薬(マラセチアなどが関係する場合)
・駆虫薬(毛包虫などが関係する場合)
・塗り薬
・薬用シャンプー
・保湿(皮膚の乾燥対策)
・耳のケア(外耳炎もセットで起きやすい)
皮膚炎は「皮膚の表面の治療」も非常に重要です。飲み薬だけで改善しないときほど、スキンケアが結果を左右します。
・低アレルゲンの食事への切り替え
・寝具・タオル類の洗濯や掃除
・室内の温度・湿度の調整
・ノミ・ダニ予防(通年)
皮膚の治療は「病院での治療+ご自宅での環境」がセットです。
「通院している」「お薬も飲ませている」それでも良くならないときは、次のような理由が隠れているかもしれません。
・原因がズレている
アトピーだと思っていたものが、実は食物アレルギーや寄生虫・細菌感染、ホルモン異常などによって引き起こされていたケースがあります。皮膚病は“見た目が似ている”ことが多く、診断の整理が重要です。
・皮膚のバリア機能が落ちている
健康であれば皮膚にはバリア機能があり、外からの刺激に対して体を守ってくれます。しかし、皮膚環境が悪化すると、このバリア機能が損なわれて、少し良くなってもすぐ再発しやすくなります。
・かゆみの悪循環に入っている
かゆい → かく → 傷ができる → 菌が増える → さらにかゆい
この状態だと、薬で炎症を抑えても追いつかず、結果として「効かない」と感じやすくなります。
・季節・ストレス・生活環境の影響
皮膚炎は「一生のつきあい」になることもあります。季節や湿度、花粉、引っ越し、多頭飼いのストレスなどでも波が出ます。
・薬が足りない(効いていないのではなく“追いついていない”)
重症化しているときは、お薬が効いていても、それ以上に炎症が強く、結果として改善が見えにくいことがあります。
ステロイドや免疫抑制剤は、かゆみや炎症を抑えるうえで非常に優れたお薬です。
一方で、長期間使う場合は副作用にも注意が必要です。代表的な副作用として、以下のようなものがあります。
・水をよく飲む、尿の量が増える(多飲多尿)
・体重が増える
・皮膚が薄くなる
・感染しやすくなる
「ステロイドを続けているのに、良くならない」「副作用が怖いから減らしてあげたい」こうしたお声を、私たちも耳にします。
ただし、ここで最も大切なのは、自己判断で急にやめないことです。急に中止すると炎症がぶり返し、かえって悪化する危険があります。
不安がある場合は、必ず獣医師と相談しながら減薬を進めましょう。
「治療しても良くならない」場合、次の点をあらためて確認します。
・本当にアトピーか?
かゆみはさまざまな原因によって起こります。ノミ・ダニ、カビ(皮膚糸状菌)、細菌、マラセチア、食物アレルギーなどの可能性を考え、丁寧に除外していきます。
・食事を自己流で変えすぎていないか?
食物アレルギーの診断には「除去食試験」が必要です。
しかし、思いつきでフードをころころ変えてしまうと、原因が分からなくなってしまいます。食事の変更は、流れに沿って計画的に行うことが大切です。
・二次感染がないか?
皮膚が傷つくと細菌・マラセチアの感染が起きやすくなります。感染が混ざると、かゆみが一気に強くなり、治療も長引きます。
・スキンケアが合っているか?
「シャンプーしているのに良くならない」という場合、頻度・シャンプー剤・乾かし方・保湿などが合っていないこともあります。
自己流は避け、まずは獣医師までお尋ねください。
再生医療とは、簡単に言うと、体が自分で回復しようとする力をサポートする治療です。
「強い薬で無理やり抑え込む」ではなく、皮膚の慢性的な炎症を“立て直していく”方向を目指します。
皮膚の慢性炎症に対しては、主に以下の方法が用いられます。
・MSC(間葉系幹細胞)療法
→ 炎症を落ち着かせたり、組織の回復を助けたりする働きが期待されます。
「間葉系幹細胞療法」について詳しく知りたい方はこちら
・PRP(血小板由来成分)療法
→ 自分の血液から回復を助ける成分を取り出して活用します。
これらは、皮膚の状態を立て直し、かゆみの悪循環を断ち切る「きっかけづくり」を目指す治療です。
当院では「治らない」とお悩みの飼い主様と一緒に、これまでの経過を一度整理し直すことを大切にしています。
診察では、皮膚の状態の確認だけでなく、生活環境やこれまでの治療歴をお聞きすることで、正確な診断に役立てています。
原因が見えてきたら、再生医療だけに頼るのではなく、スキンケア・感染対策・食事・生活指導などを組み合わせて、オーダーメイドの治療プランをご提案します。
また、「お薬をずっと続けることが心配」という飼い主様には、状態を見ながら減薬を目指す方針も検討します。
※ただし皮膚病は個体差が大きいため、慎重な調整が必要です。
皮膚炎の原因は複雑に絡み合っています。だからこそ、丁寧な診断で原因のズレを修正し、悪循環の糸を一本ずつ解いていくことが大切です。
今までの治療で良くならないときは、治療の軸を変える「次の一手」が必要かもしれません。とくに難治性のアトピーに対しては、MSC療法やPRP療法などの再生医療が選択肢となる場合もあります。
「どうしたらいいかわからない」「少しでもかゆみを減らしてあげたい」「お薬を減らせる可能性があるなら相談したい」そう感じたときこそ、ぜひ一度、当院へご相談ください。
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再生療法(免疫療法)
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