「前より寝ている時間が増えた」
「散歩や階段を嫌がるようになった」
「最近、触ろうとすると嫌がることがある」
犬や猫が年齢を重ねると、動きがゆっくりになったり、寝ている時間が増えたりすることがあります。そのため、「年齢のせいかな」と感じる飼い主様も多いのではないでしょうか。
しかし、そのような変化の中には、加齢だけではなく、痛みや体の不調が隠れていることもあります。
言葉を話せない犬や猫は、「ここが痛い」と伝えることができません。そのため、普段と違うちょっとした行動の変化に気づいてあげることが大切です。
今回は、犬や猫が痛みを感じているときに見られやすいサインや考えられる原因、ご家庭でできること、動物病院での診察や治療についてご紹介します。

■目次
1.まず知っておきたい|犬・猫の痛みは「いつもと違う行動」に出やすい
2.全身チェックリスト|こんな変化はありませんか?
3.部位別に見る痛みの主な原因部位別に見る痛みの主な原因
4.家でできること|記録しておくと診察に役立ちます
5.動物病院では何をする?|痛みの原因を全身から探します
6.痛みの治療と再生医療
7.まとめ
痛みというと、「キャンと鳴く」「足を引きずる」といった分かりやすい症状を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし実際には、「元気がなさそう」「食べ方がいつもと違う」「座り方が変わった」といった、日常のささいな変化としてあらわれることも少なくありません。
こうした変化が見られても、必ずしも痛みが原因とは限らず、気温や生活環境の変化、加齢などが影響していることもあります。
だからこそ、「いつもと違う様子が続いているか」「ほかにも気になる変化がないか」を意識しながら、普段の様子をよく観察してあげることが大切です。
次のような変化が見られる場合、体のどこかに痛みや違和感があるかもしれません。
✔️ 寝ている時間が増えた
✔️ 遊ばなくなった
✔️ 散歩を嫌がる、途中で立ち止まる
✔️ 抱っこや触られることを嫌がる
✔️ 怒りっぽくなった
✔️ 隠れて過ごすことが増えた
✔️ 立ち上がるまでに時間がかかる
✔️ 階段や段差を避ける
✔️ 歩き方がぎこちない
✔️ 背中を丸めている
✔️ (特に猫)高い場所へジャンプしなくなった
✔️ ご飯を口からこぼす
✔️ 片側だけで噛む
✔️ 硬いものを食べたがらない
✔️ 口元を気にする
✔️ よだれが増えた
✔️ 急にお口のニオイが強くなった
✔️ トイレの姿勢がいつもと違う
✔️ 排尿や排便に時間がかかる
✔️ 排泄時に鳴く
✔️ お尻や陰部を気にする
✔️ トイレの失敗が増えた
✔️(特に猫) 毛づくろいが減って毛並みがボサボサになった
✔️ 体や手足の「特定の部分」ばかりをずっと舐めている
✔️ 耳をよく振る
✔️ 耳を触られるのを嫌がる
✔️ 目を細める
✔️ 涙や目やにが増えた
一つひとつは小さな変化でも、複数のサインが重なったり、数日から数週間続いたりする場合は、動物病院で一度体の状態を確認してもらうことをおすすめします。
痛みは体のさまざまな場所で起こります。また、同じような行動の変化が見られても、原因となる病気は一つとは限りません。
ここでは、部位ごとに考えられる主な原因をご紹介します。
・口の痛み
歯周病や口内炎、歯のぐらつき、歯の破折、口の中のできものなどが原因となることがあります。
・お腹の痛み
胃腸炎や膵炎、肝臓・胆のうの病気、異物誤飲、腫瘍などが考えられます。
・泌尿器の痛み
膀胱炎や尿石症、尿道の病気などでは、排尿時に痛みを伴うことがあります。
・関節や背中の痛み
関節炎や椎間板ヘルニア、筋肉や靱帯のトラブルなどが原因となることがあります。
・耳の痛み
外耳炎や中耳炎などの炎症によって痛みが生じることがあります。
・目の痛み
角膜潰瘍や乾燥性角膜炎(ドライアイ)、緑内障などでは、強い痛みを伴うことがあります。
・皮膚の痛み
皮膚炎や傷、腫れ、しこりなどによって痛みが生じることがあります。また、強いかゆみが続くことで皮膚をかき壊し、痛みを伴うこともあります。
動物病院では、緊張して普段通りに歩けなかったり、興奮によって普段の様子を十分に確認できないことがあります。
そのため、ご家庭での様子を教えていただくことが診察の大きなヒントになります。
・いつ頃から変化が気になり始めたか
・どのような場面で嫌がったり、痛そうにしたりするか
・食べ方や排泄の様子
可能であれば動画を撮影しておくと、様子がより伝わりやすくなります。
一方で、痛そうな場所を何度も触ったり、無理に歩かせたりする必要はありません。また、人用の痛み止めは犬や猫にとって危険なことがあるため、自己判断で使用しないようにしてください。
痛みの原因を見つけるためには、「どこが痛いのか」だけでなく、「なぜ痛みが出ているのか」を調べることが大切です。
まずは問診で、いつ頃から症状が見られるようになったのか、どのような場面で痛みが強くなるのかなどを詳しくお伺いします。
そのうえで、口・耳・目・皮膚・お腹・関節・背中など全身を診察し、痛みの原因として考えられる病気がないかを確認します。さらに、必要に応じて血液検査や尿検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、原因を詳しく調べていきます。
痛みの治療では、まず原因となっている病気に合わせた治療を行うことが基本です。
例えば、口や耳、目、皮膚、泌尿器の病気では内科治療や外科治療を行い、関節や背中の痛みでは、必要に応じて痛みを和らげる治療やリハビリなどを組み合わせながら改善を目指します。
また、関節の病気や慢性的な炎症が関わる一部のケースでは、一般的な治療に加えて、再生医療を選択肢の一つとして検討できる場合があります。
再生医療は、間葉系幹細胞などを用いて、体が本来持つ回復する力や炎症を調整する働きに着目した治療です。ただし、すべての痛みに行える治療ではないため、診察や検査結果をもとに、その子に適しているかを判断します。
当院では再生医療にも対応しており、一般的な治療だけでは十分な改善が得られない場合や、治療の選択肢の一つとして再生医療が適していると判断した場合には、ご提案することがあります。まずは痛みの原因をしっかり見極め、その子の状態に合わせた治療をご提案いたします。
犬や猫の痛みは、鳴いたり足を引きずったりするだけではありません。寝る時間や食べ方、歩き方、排泄、毛づくろいなど、日常の小さな変化として現れることも少なくありません。
「年齢のせいかもしれない」と感じる変化でも、以前との違いが続いている場合は、一度体の状態を確認してみることが大切です。
当院では、口・耳・目・皮膚・お腹・泌尿器・関節など全身を診察し、その子に合った治療をご提案しています。必要に応じて、再生医療も選択肢の一つとしてご案内しています。
「いつもと何か違うな」と感じたときは、お気軽にご相談ください。
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