愛犬・愛猫には、ずっと元気に歩いたり遊んだりしてほしいですよね。しかし、年齢や体質、怪我など、いろいろな理由で関節に炎症が起き、痛みで動きづらくなることがあります。この関節炎は、長引く治療や手術が必要になる場合もあり、「うちの子、本当に良くなるのかな?」と悩む飼い主様も多いのではないのでしょうか。
今回は関節炎で悩むペットと飼い主様に向けて、病気の基本的な情報をお伝えしたうえで、新しい治療法として再生医療と呼ばれるものをご紹介します。聞きなれない治療にご不安を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、当院では犬や猫の再生医療に力を入れていますので、安心して治療を受けていただくことができます。
◼️目次
1.関節炎とは
2.よくある症状と見分け方
3.従来の関節炎治療
4.再生医療による関節炎治療
5.ご家庭でできるケアも大切
6.まとめ
「関節炎」とは、何らかの理由によって肘や膝などの関節部位に炎症や変形が起きている状態を指します。原因によって大きく“炎症性”と“非炎症性”に分かれ、それぞれ代表的な病気が存在します。
・感染性:主に細菌感染によるもの(犬・猫ではまれ)
・免疫介在性(非感染性):免疫細胞が自分自身を攻撃してしまうことによって起こるもの
┗非びらん形成性:特発性多発性関節炎や全身性エリテマトーデスなど(大型犬に多い)
┗びらん形成性:関節リウマチ(トイ・プードルなどの小型犬に多い)
・変形性関節症(中高齢の犬・猫に多い、バセット・ハウンドやシェパードなどの犬種では遺伝の影響も)
・膝蓋骨脱臼(トイ・プードルなどの小型犬に多い)
・前十字靭帯断裂(中~大型犬では中高齢で多い、小型犬では膝蓋骨脱臼に伴って起こることも)など
関節炎では、次のような症状がよくみられます。
・歩き方の変化:足をかばうように歩く、足が地面にしっかり着かない
・痛みの兆候:触ろうとすると嫌がる・怒る、関節が腫れて熱感がある
・活動性の低下:動きたがらない、遊びやお散歩への興味が薄れる
こうしたサインを見逃さないよう、日頃から愛犬・愛猫の様子をしっかり観察しましょう。特にシニア期に入った犬や猫の場合、「歳だから仕方ない」と見過ごしてしまいがちですが、治療次第でまだまだ元気に過ごせる可能性があります。
関節炎の治療は、その原因や進行具合によって異なります。一般的には、次のような方法が考えられます。
・薬物療法(ステロイドや免疫抑制剤など)
・手術
・体重管理
・リハビリテーション
・サプリメント
しかし、加齢による影響や免疫の異常が関わっている場合、こうした治療を進めていっても完全に治すことは難しいといわれています。たとえば、免疫介在性の関節炎では生涯にわたって薬物療法が必要になります。さらには、ステロイドや免疫抑制剤は副作用が現れる危険性もあるので、飼い主様の心配の種になってしまいます。
こうした従来の関節炎治療の問題点を解決すべく、最近では再生医療が注目されています。なかでも、「間葉系幹細胞(MSC)」と呼ばれる細胞を利用した治療法は、異常な免疫反応を抑制する働きがあるため、特発性多発性関節炎や関節リウマチなど免疫介在性の病気に対して効果が期待されています。実際に、海外を中心に有効性を示す研究報告も増えてきました。
・静脈内投与
免疫の異常が全身的に起こっている場合に用いられることが多い方法です。MSCを点滴で静脈に入れることで、体内を巡りながら免疫反応を調節し、関節周辺の炎症を緩和します。
・患部への直接注入
変形性関節症など、関節そのものに強い炎症がある場合は、関節内へ直接MSCを注入します。局所的な炎症や組織のダメージを和らげ、痛みを軽減する効果が期待できます。
これらの治療を行うと、炎症が鎮まって関節の動きが改善し、痛みから解放されることがあります。今までびっこを引いていたり、動くのを嫌がっていた子が、関節の状態がよくなることで以前のように活動的になり、QOL(生活の質)の向上も期待できます。
間葉系幹細胞(MSC)療法の詳しい仕組みや効果については、こちらのページで詳しくご紹介しています。
再生医療で関節の痛みが和らいでも、普段のケアも意識してあげると効果が続きやすくなります。
・体重管理:肥満は関節への負担を増やすので、バランスの良い食事を心がけましょう。
・生活環境の工夫:段差にスロープをつくる、滑りやすい床にマットを敷くなどの工夫も重要です。
・適度な運動:あまり激しい運動は避け、高齢になっても適度に運動させましょう。猫の場合は、室内で遊ぶ時間をつくる、あるいはキャットタワーなどを設置する、といったことも効果的です。
こうしたご家庭でのケアとあわせて、定期的に動物病院を受診し、専門家に関節の状態をチェックしてもらうと、もし再発の兆しが出ても早めに対処できるでしょう。
犬や猫の関節炎は、加齢や免疫異常、ケガなどさまざまな原因で起こり、放置すると歩行困難や慢性的な痛みにつながることがあります。
従来の治療法(薬物療法・手術・リハビリ・体重管理など)はもちろん大切ですが、副作用や長期間の治療が気になる方は、今回ご紹介した再生医療をお試しいただいてはいかがでしょうか。
当院では、安心・安全な再生医療に力を入れております。まずは愛犬・愛猫の関節の状態がどうなっているのか、診断や今後の治療方針を一緒に考えていきませんか?わからないことや不安なことは何でもお気軽にご相談ください。愛犬・愛猫が再び元気に動き回る姿を取り戻せるよう、全力でサポートいたします。
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再生療法(免疫療法)
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